A Drop of Miracle Honey-ひと言therapy

U理論ー未来のビジョンから行動に落とし込む実践的プロセス

  A Drop of Miracle Honey- ひと言Therapy 7

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「A Drop of Miracle Honey- ひと言 Therapy」と題して、
心がふっと軽くなるようなmessageを記すコーナーです。

過去からの学習では解けない課題への挑戦

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ここから数回かけて、夢の実現やイノベーションが起きるモデル、
キャリア構築など、いくつかの理論をご紹介していきます。
知識として知っておくと役立つ、もしくは状況理解ができて気分が
ラクになる情報です。

「~すべき」思考のクセが強い人に見られる3つの心理とプラスの活用法
で、PDS(Plan-Do-See)サイクルの落とし穴についてお話ししました。
PDSは改善活動には適しているが、
そもそも初めに解こうと設定していなかった問題は
見返すこともできないし、課題として抽出されないという
トラップに陥りがちということでしたね。
いわば「過去を振り返って、進むべき道を策定する」
という考え方です。

これに対して、U理論は、「未来から考える」方法です。
過去の延長線にない変容やイノベーションを起こすための
原理と実践方法とされています。
U理論VSPDS

環境変化、時代の変化が激しく、スピードも加速、
複雑性が増している現在では、
過去の成功事例は通用しないケースが増えてきています。
前例のない課題は、過去の常識にとらわれていては
解決できないのです。
昨今、「U理論」が注目されるようになったのは、
未来からの学習、イノベーションへの期待といった
時代的背景があります。

ご両親や先輩方の成功体験が、これからの時代に
そのまま当てはめられない、先人たちの時とは
前提となる環境、条件が大きく変化、
いわばゲームチェンジが起きていることもしばしばです。
だれかが正解をもっている、という考え方から、
だれしも未経験、正解はまだわからない、という前提で
自分なりに道を選択していくことが必要になってくるのです。

それでは、U理論について、もう少し丁寧に見ていきましょう。

U理論は、イノベーティブな未来を創造するプロセス

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U理論は、マサチューセッツ工科大学の
オットー・シャーマー(Otto Scharmer)博士が
イノベーションが起きる際のプロセスを言語化したものです。
彼自身が、経営者へのインタビューを通じて、
くの経営者たちが、問題解決の手法やフレームワークよりも、
関わる人々のマインドセットの変化を重視していることに着目し、
イノベーションが起こる際のプロセスを
「出現する未来からの学習」として言語化しました。

個人や集団のポテンシャルを引き出し、新しい未来への行動へ
つなげられる方法とされています。
アーティストやアスリートたちの内的変容プロセスがイノベーションと
関係があるということも発見されています。

本の紹介

U理論は、
Theory U Leading from the future as it emerges
Otto Scharmer (著)

U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
日本語版 中土井 僚(訳)

が出版されています。

U理論の3つのプロセス

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オットー博士は、未来からイノベーションを創り出していくプロセスを
Uのモデルで大きく3つに分解して表現しています。

①Uの谷を下る:センシング

丁寧に自己を観察して、過去の思考を手放していくプロセスです。
自身の現状を客観的に観察することで「思い込み」に気づき、
脱却します。

◆ダウンローディング

ダウンローディングとは、過去の固定概念や思い込みのことです。

しばしば、人は思い込みのメガネをかけて、
モノゴトを見、思考しています。
まず、自分が「思い込み」がある、ということに「気づく」
こと、思い込みメガネをはずすことが、客観視への大きな第一歩、
いえ、気づければ半ばうまくいくともいえるくらい大きなことです。

自分を防御しようとしていたり、卑下していたり、
といった思い込みから来ていることが多々あります。

◆シーイング(観る)

ダウンローディングで自覚した思い込みや決めつけを良し悪しで判断せず、
一度「保留」にします。
あくまで事実として目の前の情報や事象を客観的に考察します。

足かせになっている先入観を排し、過去の経験などから
蓄積されている思い込みを取り払って
「ありのまま事実をとらえる」状態を目指します。
「気づき」と「保留」の状態でいることが、次のプロセスで
これまでと異なる発見につながります。

◆センシング(観察/感じ取る)

思い込みメガネをはずして、モノゴトを見ると、
これまでとはちがう見え方を発見したり、感じ方をしたりします。

これまでわからなかった相手の気持ちが理解できたり、
自分と異なる見解に、そういう考え方もあるかもね、
とおもえたりします。

固定的なものの見方から、柔軟性が増し、
多角的な見方を許容していけるようになります。

たとえば、上司の言っていることが素直に
受け入れられるようになったり、
両親の言っていたことの意味が、
深く理解できるようになったり、ということです。

今までとはまったく違う視点からモノゴトが
見えるようになることをセンシングといいます。

②Uの谷:内省して自分の源となる世界を知り、迎え入れる準備をする/
プレゼンシング

プレゼンシングは、「源につながる」ことと説明されています。

U 理論で中核となっているのが、源(ソース)という概念です。
創造性を引き出す、根源的な
「私は何者なのか?」
「私が自分の人生でなすべきことは何か?」
といったその人の生きる意味を示す問いがでてきます。

源は、個人が自分の内面を深く探求することによって
はじめて自分自身で自覚するものであり、
個性の源といえます。

自分の内面だけに閉じている段階から、
外部に開かれた段階になります。

インスピレーションが非常に湧き上がりやすい状態に達する。
エゴを捨て去り、より高い次元の「自己」にリーチします。
これを「本来の自分(authentic self)」といいます。
プレゼンシングを深めていくと、
この本来の自分に偽りなく発せられる言葉となり、
他者との共振を引き起こすようなビジョンや
アイディアが生まれるといいます。
自分自身の価値観や世界観が変容し、
新しい気づき、新しいアイデアの創造に至ります。

オットー博士は、この「プレゼンシング」について、
「未来が出現する」と表現しています。
過去の延長線上ではない「未来が出現する」前には、
不安や怖れを感じたりしますが、一歩踏み出す勇気が必要
といわれています。

③Uの谷を上る:クリエイティング/直感をつかみ取り、行動に移す

前ステップで明らかになった未来のビジョンを具現化する段階です。

◆クリスタライジング(結晶化)

創出したい思考やアイディアを具体的な言葉に落とし込んでいく
段階を「クリスタライジング(結晶化)」といいます。

◆プロトタイピング

思考やアイディアの形を明確にし、具体化していきます。
思考と実践を繰り返して、実現可能性を見極めていきます。

◆パーフォーミング(実践)

これまでのステップで生まれたビジョンを実践、
行動に移します。

3つの段階をまとめると、
1のセンシングで、先入観を排し、ただひたすら観察し続けることを通して、
2のプレゼンシンクの状態で、行動の基点を源(ソース)にたどり着き、
自分自身を通して、出現しようとしている未来をとらえます。
3で、そこででてきた直感やインスピレーションに形を与えることで
イノベーティブな未来が現実化していくということを表しています。

まとめ

U理論は、過去の延長線上にはない新しい未来を描きたいというときに、
新しい可能性の道をつくっていくことに、活用いただけるものですので、
参考にしていただければと思います。

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