A Drop of Miracle Honey-ひと言therapy

キャリア・アンカーー仕事観の診断方法と活かし方

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  A Drop of Miracle Honey- ひと言Therapy 8

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「A Drop of Miracle Honey- ひと言 Therapy」と題して、
心がふっと軽くなようなmessageを記すコーナーです。

キャリア・アンカーとは?

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前回、U理論という未来から考える手法を紹介しましたが、

「やりたいことがわからない」
「もしかすると、もっと自分が興味をもてるものは他にあるかもしれない」

というように、
自分がどんなタイプで、何に向いているのかが、わからない、
という人も多いでしょう。

そこで1つの自分を知る
「キャリア・アンカー(career anchor)」
という方法をご紹介します。

キャリア・アンカーは、アメリカの組織心理学者である
エドガー・H・シャインEdgar Henry Schein博士によって
1970年代に提唱されたキャリア理論の概念です。

「仕事において何を最も大切にするか」

という価値観に着目しています。
「anchor」とは「船の錨(いかり)」
を意味しています。
錨がしっかりと海底に固定されていると
船は安定してとどまることができることに
なぞらえています。
自身のアンカーを把握することで、
満足のいく選択をしやすくなる
という考え方です。

自己分析によくある
「何が好きですか?」
「何がトクイですか?」
といった観点ではなく、
個人がキャリアを選択していくうえで、
絶対に譲れない核となる価値観や欲求・能力
を軸に分析をします。

シャイン教授は、「アンカー(anchor)」とは、
船を海上にとめるために用いる、錨(いかり)のこと。
自分に波風が当たってもふらつかない自分の軸
と言っています。

what?よりもhow? を問い、
「どのように働きたいか?」という点を
分析します。

本の紹介

キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう
エドガー・H. シャイン(著)、金井壽宏(訳)

 

キャリア・アンカーの診断方法

assess
診断方法は簡単で、40問の質問に答えると診断してくれる
無料の診断ツールが公開されています。

参考のために、受けてみてはいかがでしょうか。

8つのキャリア・アンカータイプ

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シャイン博士は主なキャリア・アンカーを8つに分類しました。
それぞれの特徴を見てきましょう。

起業家的創造性 (EC: Entrepreneurial Creativity)

アントレプレナー、芸術家、発明家タイプ。
リスクを恐れず、クリエイティブに新しいモノやコトを
創り出すことを重視します。

企業で働く場合も、新商品の開発や、新規プロジェクト
などに醍醐味を感じるタイプです。

管理能力 (GM: General Managerial Competence)

経営者タイプ。
集団を率い、責任のある役割を担うことに幸せを感じます。
出世意欲が高い傾向にあります。
専門的なことよりも、
責任のある仕事をしたい、
組織を動かしたい
といった気持ちが強く、企業全体の経営に興味をもちます。

組織全体が高い成果を出すことに魅力を感じるので、
権力や高い地位の獲得にこだわりがあります。
管理職となり、責任を負う立場に喜びを感じます。

技術・職能 (TF: Technical / Functional Competence)

専門家タイプ。
特定の分野で能力を発揮し、専門性や技術が高まることに
幸せを感じます。

何らかの分野でエキスパートになり、挑戦・成長することに
興味があります。
研究職や技術職など知見やスキルを積み重ねていく、
その道のスペシャリストとしての働き方が向いています。

自律・独立 (AU: Autonomy / Independence)

独立タイプ。

分野に関わらず、組織のルールや規則に縛られずに、
自分のやり方・ペースで仕事を進めていくことを好みます。

マイペースで自由度の高い環境が好きです。
自由な行動が許容される研究職や自分のスキルを
武器にする技術職、フリーランスなどが向いています。


奉仕・社会貢献 (SV: Service / Dedication to a Course)

社会起業家(ソーシャルアントレプレナー)タイプ。

医療、社会福祉、教育など、世の中を良くすることに価値を置き、
出世や報酬より、社会に与える影響を重視します。
誰かを助けたり、人の役に立つことにやりがいを感じます。

純粋なチャレンジ(CH: Pure Challenge)

挑戦家・冒険家タイプ。解決困難な問題に挑戦すること自体に醍醐味を感じます。
「挑戦」がメインテーマとなっており、
難しいと思われる課題に率先して挑んでいき、
問題を解決することに喜びを感じます。
自身のスキルアップや、出世・報酬アップよりも
困難な問題に挑戦することそのものに興味があります。

保障・安定 (SE: Security / Stability)

ローリスク・ローリターン安定志向タイプ。安全・確実で、ゆったりした気持ちでいることを好みます。
堅実に1つの組織で安定的に過ごしたいと考えます。
部署異動、転勤、転職など、大きく変化を求められることに
対しては保守的です。
リスク回避の危機管理マネジメントや将来を見通せる公務員
などに向いています。

ライフスタイル(LS: Lifestyle)

ワーク・ライフ・バランスを重視するタイプ。

企業人としての自分、一個人としての自分の
両立を目指します。
多様な働き方が認められている企業や業種に向いています。
ワーク・ライフ・バランスが保てる環境であれば、
意欲的に高いパフォーマンスを発揮できます。

キャリア・アンカーのメリット

how
キャリア・アンカーについて、ご紹介しましたが、
この考え方のメリットについて考えてみましょう。
キャリア・アンカーはhowに着目していると先にも
お話ししました。

<what>
「何をしてきたか」
「何がしたいか」
「どんな仕事がしたいか」


時代の流れに影響を受ける
仕事自体が変化してなくなることもある
年齢や経験で変わることもある

how?
「どう働きたいか?」
「何を大切にして仕事に取り組みたいか?」
→個人の核となる人生観のようなもので、
時代の変化や年齢による影響を受けにくい

howの価値観がフィットしていることを重視
した考え方とは、
うつろがない自分のこだわりを知り、活かすことで、
自分らしく、能力を発揮できる軸足となる、
ということですね。

キャリア・アンカーの活かし方

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個人としては、自分のアンカータイプを理解しておくことで、
企業内での異動希望や、転職、独立などの節目で、
自分が望む満足できる働き方を選択、
自分の能力を発揮しやすい環境をつかみとりやすくなります。

企業側も異動や育成方針において、
個々人にフィットした配置をすることで、
高いパフォーマンスを引き出すことにつながります。
離職防止効果もあるはずです。

キャリア・アンカーの留意点

留意点
キャリア・アンカーは、キャリアの中盤(おおよそ30歳前後といわれます)
に経験をある程度積む中で見えてきます。
つまり、新卒時の就職活動時には、活用しにくい面があります。

また、どのタイプが優秀だとか、良いとかいうことではない、
ことも留意しておきたいところです。

まとめ

キャリア・アンカー、いかがでしたでしょうか?
今ある職業でも、whatの内容が変化して、
未来にはなくなっているかもしれない、
でも、how,どんな働き方がフィットするか、は
自分の核として、ある程度汎用性をもって考えられる
ということで、知っておいて損はなさそうですね。

 

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