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七福神ー由来とおもしろエピソード②
毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天
前回は「七福神ー由来とおもしろエピソード①」で
恵比寿、大黒天、福禄寿を紹介しました。
②として続き、今回は、毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天を
紹介していきます。
毘沙門天:勝運・開運・金運・厄除
毘沙門天は、仏教において、天部の神とされ、
四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)の一尊の
武神です。
四天王として安置される場合は多聞天、
独立尊として安置される場合に、毘沙門天
と呼ばれます。
四天王では、北の方角を守護します。
信仰すると10種の福があると
「毘沙門天王功徳経(びしゃもんてんのう くどくきょう)」に
書かれています。福の数がとても多い神様です。
- 無尽の福(尽きることのない福)
- 衆人愛敬の福(皆から愛される福)
- 智慧の福(智慧により物事を正しく判断する福)
- 長命の福(長生きする福)
- 眷属衆太の福(周囲の信頼に恵まれる福)
- 勝運の福(勝負事に勝つ福)
- 田畠能成の福(田畑を豊作に導く福)
- 蚕養如意の福(家業が成功する福)
- 善識の福(良い教えを学ぶ福)
- 仏果大菩提の福(悟りを得られる福)
上杉謙信と毘沙門天
「泥足毘沙門天」「我を毘沙門天と思え」
上杉謙信は、信仰深い武将でした。
戦続きの日々の中、久しぶりに、春日山城
(現在の新潟県上越市春日山町)の毘沙門堂に
行くと、足跡が毘沙門天像にまで続いていました。
毘沙門天像の足にも泥がついているのをみた謙信は、
「共に戦場をかけめぐってくれた」とたいそう喜んで、
この毘沙門天像を「泥足毘沙門天」と呼ぶようになりました。
上杉謙信は自分を毘沙門天の生まれ変わりだと信じ、
「我を毘沙門天と思え」と家臣に言っていたといわれます。
布袋:無病息災、開運、金運
中国唐から後梁の時代の契此(かいし)という僧侶が
モデルになっています。
唯一、実在の人物から神格化された神様です。
太鼓腹に大きな袋を背負っていたことから布袋の呼び名に
なったと言われます。
「泣いて暮らすも一生。笑って暮らすも一生。
同じ暮らすなら笑って暮らせ」
契此(かいし)は、大変懐が大きく、自由な生き方をしながら、
人々に至福を与える不思議な力を持っていたといわれます。
天候や人の吉凶を占えば百発百中。
「不吉を払い吉祥を招く」とされ、
『弥勒菩薩』の化身として尊ばれていました。
無病息災
開運
良縁
子宝
夫婦円満
金運
長寿
なとのご利益があるとされます。
寿老人:長寿、健康、福徳
寿老人は、福禄寿とともに、南極老人星の化身、
道教思想で、老子が天に昇って星になったと
いわれています。
1000歳とか1500歳の寿命だったとされ、
長寿をもたらす神様になりました。
寿老人は頭が長いのが特徴ですが、
「実るほど頭(こうべ)をたれる稲穂かな」
というように、人々に謙虚な姿勢の大切さ
を伝えていると言われています。
寿老人の持ち物 不老不死
「桃」
寿老人は「桃」をもっています。
中国で桃は不老不死の食べ物。
西王母(せいおうぼ=女仙)
は不老不死を司る女神様で
桃園を管理していました。
3000年に1度だけ仙桃
といわれる特別な力をもつ桃
ができる、ことから、
三千年みちとせ)の桃=大変珍しくおめでたいもの
といわれるようになりました。
寿老人は不老不死のパワーの象徴として
桃をもっているのです。
「ひょうたん」
またときに「ひょうたん」を
もっていることもあります。
ひょうたんの中には「仙薬」
といわれる不老不死の薬が
はいっているとされます。
「うちわ」
「難を遠ざける」とされています。
弁財天:財運、豊穣、福徳、芸能
弁財天は七福神の中で紅一点。
弁財天の由来となったインドのサスラヴァティ
という神様は川の神様です。
弁財天は水とご縁が深い神様というわけです。
川(水)は、農耕に大変重要な存在で、
豊穣をもたらすということから、
豊穣の女神として崇拝されるようになります。
しばしば琵琶をもち、音楽・芸能の神様
としても信仰されます。
7神すべて紹介しましたが、
最後に、彼らが載っている宝船についても
扱っておきますね。
宝船:海の向こうからやってくる福の神
七福神はよく「宝船」にのって描かれます。
なぜ船に乗っているのでしょう?
それは、昔の人々が「幸運は海の向こうからやってくる」
と考えたからです。
江戸時代に初夢の習俗がはじまると、
宝船にのった七福神の絵を敷くとよい初夢がみられる
といわれ、七福神の刷り版画を売り歩く人々がでてきました。
宝船には、宝石、珊瑚、金銀など、宝物が積まれており、
おめでたい船とされました。
しばしば龍をかたどった宝船、さらに鶴と亀が近くに
描かれ、最高の縁起物の絵柄とされ、人気を博しました。
龍の宝船にのった七福神と鶴亀の図
龍の頭の舳先がついた宝船 画:歌川芳虎
(東京江戸博物館蔵)
まとめ
これで七福神にまつわるお話はおしまいです。
7つの神様、それぞれ個性がありましたが、
どの神様が一番気になりましたか?
七福神の作品です。龍の船にのって、
鶴亀さんもいますよ。