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ミツバチの愛すべき生態② ダンスでコミュニケーション⁈
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ミツバチの愛すべき生態①では、生態系でミツバチが大きな役割
を果たしていることや、ハチミツの種類などを紹介しました。
まだまだミツバチの生態について紹介し足りないので、
引き続き②として特徴をみていきます。
ダンスでコミュニケーション⁈
1920年、フォン・フリッシュ(Karl von Frisch)氏が、
The Language of Bees(ハチの言語)
という論文を発表し、ハチの言語としてのダンス行動が
発見されました。本件でノーベル賞を受賞しています。
また、1973年にも受賞しています。
for their discoveries concerning organization and elicitation of individual and social behaviour patterns「個体および社会行動様式の組織化とその誘発に関する発見」
ハチの8の字ダンス、という話は聞いたことがある
と思いますが、何を伝えているのか、ご存じですか?
単にダンスをしているのではなく、
仲間に餌のある方角、距離をダンスを通じて
コミュニケーションしているのです。
こちらの動画をご覧ください。
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ダンスには、円ダンスと尻振りダンスの2種類あり、
距離と方角によって踊り分けているのです。
ダンス時間の長さは、蜜の量と距離で変わります。
仲間たちは、ダンスするハチの近くに集まって、
情報を受け取ろうとします。
巣の中は暗いので、視覚情報からではなく、
振動・音を通じて情報を受け取ると言われています。
1匹のハチダンスをみたらすぐに発動するのではなく、
できるだけ近いところにあるという情報を優先して
動きます。
伝達の誤差は、約150m,角度15度以下の正確さ
と言われています。
このように仲間で情報を伝えあって、
密を効率よく集める行動をとっているのです。
ハチは5つの目を持っている⁈
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ハチは大きな2つの複眼と、3つの単眼をもっています。
複眼は、何千もの個眼から構成されており、
1つ1つがとらえた情報を総合的に認識しています。
速い動きもスローモーションに見えてしまうほど、
動体視力にすぐれており、それにより、俊敏な対応
ができるようになっています。
単眼は、明暗を感知します。これにより、太陽の方角、
光の差し込む方向を把握して、方向感覚を保っています。
単眼は頭の上にあります。
色の見え方は、人間よりも紫外線がよくみえています。
一方で、赤色は赤としては認識できず、他のグレー・黒
といった色に見えています。
紫、青、緑、黄色が見えています。
スペクトラム波長でいうと、認識範囲は、
人間:400-800nm
ハチ:300-650nm
といわれています。
黒い服を嫌う⁈
黒い服はハチに狙われる、という話を
聞いたことがあるかもしれません。
ハチの天敵、クマが黒いから、という説
もありますが、色を濃淡で判断しているため、
黒ははっきりと見える、ということが
あるようです。
逆に夜間は白のほうがはっきり認識できる
ことになります。
刺すハチ、刺さないハチ
ハチといえば、刺される!という恐怖心が
想起されるかもしれませんが、
すべてのハチが刺すわけではありません。
簡単にまとめてみます。
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刺すのは雌だけです。
刺す目的は、巣を外敵から守るため、と言われています。
防御のための攻撃なんですね。
巣に近づきすぎたり、大声で驚かしたりすることが
リスクになります。
Q:ハチは刺すと死んでしまうのか?
A:答えはNO.です。
普通は刺したくらいでは、死んだりしません。
ただし、ミツバチは、針を抜くときに、とげがひっかかって
ちぎれてしまい死に至ることが多いです。
ミツバチの寿命はどれくらい?
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働きバチは、時期により異なりますが、
1か月から半年程度です。
繁殖期は1か月、越冬期はあまり動かないので
長くなります。
女王蜂は、1年から3年程度ですが、
長ければ8年くらい生きることもあるようです。
ミツバチの家族のしくみ
1つの巣に3万~5万匹が生息する中で、
たった1匹の女王蜂だけが産卵。
産卵期には1日1500~3000個くらい産みます。
女王蜂がどのように決められるかは、
はっきりわかっていません。
女王蜂はロイヤルゼリーを栄養として、
働きバチの2,3倍の大きさになります。
雄バチは10%程度となっています。
雄バチは、精子の提供が主なミッションで、
それ以外は、蜜集めもせず、ふらふらとしています。
そして用済みになると巣を追い出されてしまいます。
ちょっと笑ってしまいますが、
餌の少ない時期を乗り越えていくためであり、
これも自然界の厳しさですね。
まとめ
ミツバチ、ハチの生態、とても興味深いですね。
何万匹もの集団組織がコミュニケーションをとりながら、
効率的に巣の場所を決め、採蜜している。
最後に、この組織運営は人間社会にも活かせるという視点で
考察している本を紹介して、いったん一区切りとさせていただきます。
本の紹介
「ミツバチの会議: なぜ常に最良の意思決定ができるのか」
トーマス.D.シーリー(Thomas.D.Seely)著、片岡夏実訳
