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色の心理的効果を知って最大限に活用する
前の日の夜に、「明日は赤い服を着ていこう」
と準備をしていたにもかかわらず、
当日になったら、なんだかちょっとしっくりこない、
などと気分が左右することってありますよね。
色が人の感情に影響を及ぼすことは、
科学的にも証明されて、「色彩心理学」という
学問としても確立されています。
前回は色の基礎知識を紹介しましたが、
今回は、色の心理的効果について、
見ていこうと思います。
色の寒暖感(暖色・寒色・中間色)
色の系統は大きく3つにわけられます。
寒色:寒さや冷たさを感じる色(青、青紫、青緑など)
暖色:温かさを感じる色(赤、黄色、オレンジなど)
中間色:どちらにも属さない色(緑、黄緑、紫など)
青や水色は、水や海など冷たいものを連想させ、
赤やオレンジなどは、太陽や火など熱いものを
連想させるからと考えられています。
色の膨張・収縮感(膨張色・収縮色)
同じ大きさのものでも、色によって
大きく見えたり、小さく見えたりします。
明度の高いものは大きく、低いものは小さく
見えます。
下のサンプルは、どれも同じ大きさです。
碁石の大きさは白黒で異なる⁈
碁石は、
黒は、直径22.2㎝
白は、直径21.9㎝
と、白が少し小さく作られています。
同じ大きさにすると白が大きく見えてしまうため、
同じ大きさに見えるように、あらかじめ調整されて
いるのです。
色の進出感・後退感(進出色・後退色)
同じ距離にあっても、赤、オレンジ、黄色などは近くに見え、
青や、青紫などは遠くに感じられます。
近くに見える色を:進出色
遠くに見える色を:後退色
といいます。
青色の自動車が事故率はNo.1だった⁈
事故のあった車の色の割合を調べた結果が下記。
青い車が一番でした。
それはなるほど、ですが、そもその車の数が
多いからなのでは?という疑問が浮かびますよね。
ということで、当時の市場における車の色の割合も
あわせて記載します。
青:5%
緑:13%
グレー:11%
白:53%
赤:20%
黒:4%
ベージュ・金・黄:5%
市場における割合と事故車の割合を見比べてみると、
やはり、後退色(青、緑、グレー)の割合の高さ、
進出色(赤、白)の割合の低さ、は傾向として
読み取れそうですね。
こちらについての、詳しい情報は、
「カラーマーケティング論」(野村順一著)
にのっているので、ご興味ある方はどうぞ。
色の軽重感(軽そうな色・重そうな色)
色の重さの感覚に与える影響の話です。
明度の高いものは軽く、低いものは重く感じます。
白は黒に比べて、1.87倍も軽く感じるとされています。
なので、作業効率を考慮して、引っ越しの段ボールは、
白を採用することが多い、ということがあります。
また、絵画などでも、上部に軽い色、下部に重い色を
配置すると安定してみえます。
絵画やデザインでは、安定感をだしたり、
あえてアンバランスな感じを出したりと、
色の配置で伝えたい印象を工夫することができます。
色の柔軟感(柔らかい色、硬い色)
明度が高い色ほど、軟らかい印象になり、
低いほど、硬い印象になります。
やわらかいイメージの赤ちゃんの服などには
しばしば「軟らかい色」が使われます。
色の派手・地味感(派手な色と地味な色)
彩度が高いほど派手な印象、低いほど地味な印象
になります。
寒色より、暖色のほうが派手な印象になります。
色の興奮感、沈静感(興奮する色、沈静する色)
鮮やかな暖色系の色(赤、黄など)は
刺激が強く、興奮感を与えます。
SALEなどの文字は赤で興奮をたかめて、
購買意欲を刺激したり、
スポーツ選手のユニフォームに赤が
使われて、戦闘モードを高めたり、
というように活用されています。
特に赤は、ドレナリンの分泌を高め、
脈拍や血圧を上げると調査結果が
でています。
闘牛士のムレータ(布)が赤いのは、牛を興奮させるため?
闘牛士のムレータ(布)に赤を採用するのは、
牛を興奮させるため、と思いましたか?
それが、ちょっと違うんですね。
牛の目には、赤は見えていないのです。
牛の目は赤を認識することができず、
モノクロに見えているのです。
では、なぜ牛は興奮するのか?というと
布がヒラヒラとゆれる様子に興奮している
のです。
ではなぜ、ムレータに赤い色を使うのか?
ですよね。
それは、闘牛を見ている観客の人々を
興奮の渦に巻き込み、盛り上がってもらう
ためのしかけなのです。
反対に、彩度が低い寒色系の色は
沈静的な印象に働きます。
落ち着いて生産性をあげるための
オフィスデザインや、
鎮静剤のパッケージなどに
よく青が使われているのは
このような背景があがあります。
まとめ
色が心理に与える作用・効果について
紹介しました。
普段何気なく見ている日常生活の中に、
今回紹介したような色の効能を活用した
事例がたくさん存在しています。
知識をインプットしたうえで見てみると、
新しい発見がみえてくるかもしれません。
単なる好き、嫌いではなく、
色の特性を理解して、意図や用途に応じて
使い分けて、効果的に活用していけると
いいですね。