Contents
世界の様々な刺繍と特徴④ーロシア~トルコ
前回は世界の様々な刺繍と特徴③で北欧の刺繍を
紹介しました。
今回も引き続き世界の刺繍の特徴を見ていきたいと
思います。まずはロシアから。
ロシア刺繍 アルハンゲリスク(Архангельск)
アルハンゲリスク地方はロシア北西部にあります。
伝統工芸品が多く、独特の模様がかわいらしい。
赤や青の色がよくつかわれます。
本の紹介:カラーフリー(出版社)
「ロシア刺繍ものがたり」
ウクライナ刺繍 ソロチカ(sorochika)
ソロチカは、別名ヴィシヴァンカ(Vyshyvanka)
とも呼ばれ、ウクライナの民族衣装です。
ウクライナ語の「40(ソローク)」から
糸の太さを表す番手が通常より繊細で
高級な布を使っているという由来があります。
魔除けの意図があり、「悪しきもの(病気や悪霊など)」
から身を守るため、襟元、袖、裾など外との
境目には入念に刺繍が施されています。
女性は刺繍と同じように魔除けの意味で
ネックレスを使うので、
男性より女性の衣装の首まわりの刺繍が
控え目なのは、そのせいです。
地方ごとに模様が異なり、模様をみれば
地域がわかるようです。
模様は2000種を超え、刺繍の方法も200を
超えます。
白地に赤が伝統的な色使いですが、最近は
カラフルなものも取り入れられています。
色は、
赤=太陽・愛・情熱・命・人生の喜び、
黒=永遠・土
模様は、
十字、四角5つ=太陽
ギザギザ=ハーモニー
芥子の実=魔除け
といった意味があります。
生地の表と裏は心を表す、と考えられ、
刺繍生地の裏側も同様にうつくしく
なっているのも特徴です。
本の紹介:服部倫卓・原田義也編著、
「ウクライナを知るための65章」
*刺繍の本は日本では入手しにくいようなので
ウクライナに関連する本の紹介とさせていただきます。
ウズベキスタン刺繍 スザニ(SUZANI)
ウズベキスタンでは「KASHTA(カシタ)」
スザンは、ペルシア語の「針」=スザン
からきています。
スザニの刺繍模様には地方ごとに特徴が
あります。
よく用いられるモチーフの意味を
紹介します。
<ウズベキスタン全土>
ザクロの大輪の花:一家繁栄
ザクロのたくさんの種の入った実・子宝・豊作
アーモンド・唐辛子:魔除け
(特にアーモンドは玄関に飾って悪いものが
入ってこないようにします)
チューリップ:生命の象徴
カーネーション:天国・楽園
<ウルグッド>
ティーポット:来客をもてなす
<ブハラ>
アイ・パラックと呼ばれる大きな円:宇宙、月のある宇宙・空間
意味が分かると楽しいですよね。
本の紹介:金子泰子著
「ウズベキスタン日記」
トルコ刺繍 イーネオヤ(iğne oyası )
イーネ=針
オヤ=縁飾
の意味です。
オスマントルコ時代から伝わる
トルコの伝統手工芸で、
縫い針をつかって編みます。
タオルやスカーフは嫁入り道具の
一つとなっています。
花、植物、動物などのモチーフが
多く用いられ、コミュニケーション
の1つにもなっていました。
オヤ(Oya)には、ほかに、
トゥーオヤー:かぎ針を使う
ボンジュクオヤ:ビーズを使う
メキッキオヤ:シャトルを使う
などのバリエーションもあります。
本の紹介:七海光著
「トルコの可憐な伝統レース イーネオヤ」